株式投資はゼロサムゲームとは異なった性質を持つ

このエントリーをはてなブックマークに追加

ゼロサムゲーム、ゼロ和ゲームという言葉があります。複数の人がかかわっているゲームやギャンブルなどで損、得が必ずゼロになることを指す言葉です。ゼロサムゲームの中で最も有名なのは競馬であり、主催者の取り分を除いた利益を分配する形式を採用しています。実際には忘れていたなどの理由で馬券の払い戻しが行われないケースもあるものの、数字上は配当金と掛け金がプラスマイナスゼロになる、そういうギャンブルです。パチスロは競馬とは大きく異なっているギャンブルですが、必ずプラスマイナスゼロに収束するという意味では同じ性質を持っているゼロサムゲームとなっています。株式投資もこれらのギャンブルと同じであると認識されている方がいらっしゃいますが、これは正しくはありません。

確かに、株を購入される方全員が同じような判断をすることはないので、必ず選択は分かれます。例えば、ある銘柄に対して空売り、もしくは空買いを仕掛ける場合、その後にどう株価が動くかで明暗は分かれてしまうので勝者と敗者が生まれるのは確かです。そのことから勘違いされやすいものの、実際には市場に投入されたお金がプラスマイナスゼロに収束することはありません。ゼロサムゲームの場合、まず掛け金を集めて、それを分配するのが最も基本的な仕組みとなっています。

それに対して株式市場では刻々と状況が変わってくるのに加えて、購入時の状況も一人一人が異なっているのが特徴です。例えば、株価が100円の銘柄が120円まで値上がりした場合、100株を所有しているならば2000円の儲けですが、1000株ならば20000円の儲けとなっています。そして1000株を持っている方がこれ以上は上がらないと予想して売り抜けば20000円の儲けは確定しますが、仮にゼロサムゲームならばこの時点で損が確定していないといけません。ある企業の株価が常に上昇し続けている場合をイメージするのが最も分かりやすいでしょう。

100円だった株価が200円、500円、1000円と上昇し続け、誰もこの株を売らずに抱えていたら誰も損をすることはありません。勿論、実際にはこのように価値が上がり続けることなど有り得ず、どこかで下落が起こるものですが、局所的ならばこのような事例は存在します。逆に監理銘柄や整理銘柄などに指定されるなどの理由で暴落することも珍しくはありませんが、その銘柄に限っては得をしている人はいません。勝ちと負けが分かれやすいのは確かですが、一般的なゼロサムゲームの基準とはやや異なっています。

このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>