リスクの高いナンピン買いよりも素早い損切りの判断が大切

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株式投資の用語でナンピンというものがありますが、これは、ある銘柄を買ったものの株価が下落した場合に、その下落した価格で同じ銘柄を再度買うことを指します。漢字では「難平」と書きますが、災難を平均化しようという目論見があることから作られた言葉で、江戸時代の米相場で使われていた表現です。

ある銘柄を360円の株価で買ったとします。これが下落して300円にまで下がった時に、また上昇することを期待して300円の値段でさらに同じ銘柄を買い増しします。360円で1000株だと36万円ですが、300円になった時に2000株を追加で買うとそれにかかる金額は60万円です。この時点で3000株を合計すると96万円になりますから、1株当たり320円で買ったのと同じことになります。もしこの後に株価が回復して340円まで上昇したとすると、買い増ししなかった場合は1株当たり20円の損失になりますが、ナンピンをすることで1株当たり20円の利益を出すことができるわけです。このように、ナンピンは購入にかかるコストの平均を下げるために行われます。少しぐらい値下がりした程度では効果がありませんが、予想を上回るほどの値下げがあった場合、全体にかかったコストの平均を下げる効果があります。

一見よさそうな方法ですが、ナンピンはあまりおすすめできる方法ではありません。そもそもナンピンをしようというような時は、初めの時点で買うべきでない銘柄を買っているわけですから、この場合はすぐさま撤退するのがベストな方法です。日本人の投資家にはナンピンをする人がかなりいますが、投資の先進国であるアメリカや欧米の投資家はナンピンはしません。ナンピンする代わりにすっぱりと損切りをして、次の銘柄に素早く焦点を定めるのです。

下落し始めた株価がどこまで下がるのかは誰にもわからないことですし、そのような株を保有し続けるのはリスクの高い行為です。株価の下落は市場に調整力が働いていることを意味するので、その間に保有し続けても何の意味もありません。それよりも、早い段階で損切りして新たに有望な銘柄へと乗り換える方が、最終的には成功する確率が高いのです。

また、ナンピンをしたからといって、その株価がすぐに上昇するほど都合のいいことはほとんど起こりません。逆に、ナンピンしたのにさらに株価は下落を続けて、結局、当初よりも大きな損失を抱えることになるのがオチです。ナンピンを考える時点でその取引は失敗だったとキリをつけて、早めに次の銘柄に乗り換えましょう。

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