社員・パート・アルバイトの給与が払えない場合の対処方法

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社員・パート・アルバイトの給料が支払えない場合はどうすればいいのか?経営者や事業主の方が賃金未払いで悩まないための色々な対処方法について解説しています。

社員・パート・アルバイトの給与を滞納するデメリット

社員からの信用を失う

給与の未払いや遅配が起こると、社員・パート・アルバイト(以下社員等と記載)からは「この会社は危ないのではないか」「リストラにあうのではないか」「社長の手元にだけお金がいっているのではないか」など、不信感を抱かれることは避けられません。不信感を抱いた社員等は、モチベーションの低下により仕事の内容も低下するかもしれません。また、早めに対策をと思う社員等は転職を考えるかもしれません。そうなると、仕事が回らなくなり、さらなる悪循環に陥る可能性があります。

社員の生活をも危険にさらす

社員等は毎月の給料で生活を賄っている人がほとんどでしょう。自分一人の生活の人もいれば、家族を支える立場の人もいます。その生活を支える給料が払われなかった場合、社員等の生活にも大きなリスクを負うことになります。貯金等で生活できる人ばかりなわけもなく、給与の未払いのためにローンの延滞などが起こればその人の信用情報にも傷がつきます。給与の未払いは社員等の人生にも大きな影響を及ぼす可能性があることをしっかり考えましょう。

訴訟を起こされる可能性がある

給与の未払いが続けば、それに耐えかねた社員等により訴訟を起こされる可能性もあります。そうなると、どのように業績等を説明しようとも会社に否があるとされることがほとんどで勝ち目はないに等しいものです。給与の不払いや社員の不満をそのままにせず、訴訟となる前に誠意をもって対処することが大切です。

社員・パート・アルバイトの給与の支払いを待ってもらうことは可能なのか?

まず初めに、労働基準法で定められている賃金の決まりをご紹介します。

1)通貨払いの原則
社員への給料は原則現金支給。ただし、社員の同意を得ている場合は振込も可能。
2)直接払いの原則
賃金は直接本人に振り込まれるものであり、未成年等であっても保護者への支払いは認められない。
3)全額払いの原則
賃金は全額残らず支払わなければならない。積立等の名目で強制的に天引きすることはできない。ただし、労使協定によって物品の購入費や組合費などを差し引く旨決められている場合にはその分についてのみ控除できる。
4)毎月1回以上定期払いの原則
賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。数か月分をまとめて支払うことや、支払日をあいまいにしておくことはできないが、賞与などは例外となる。

これを踏まえて考えると、1か月に一度の給料日に支払いが出来なければ、労働基準法違反となり訴えられる可能性があります。待ってもらう場合には社員等に事情を説明し、納得してもらうことが必要です。その場合は、具体的に何日になるのかを書面等で残し、同意を得る必要があり、社員の同意を得ずに遅配を決めることは絶対にNGです。

社員・パート・アルバイトの滞納している給与の免除は可能なのか?

結論から言うと、未払いの賃金の免除はあり得ません。もし支払わないまま逃げるなどすれば最終的には払わずに済むかもしれませんが、それは「免除」ではなく法律違反行為です。
正当な理由で払わないケースとなるのは会社が倒産した場合です。この場合も実際には免除ではなく、「支払えない」というのが正しい表現です。直接雇用主として給与を支払うことができないケースがほとんどだと思いますが、倒産の場合には「未払い賃金の立替払い制度」を利用することで社員等に未払い分の給与の一部を支払うことが出来ます。これは労働者安全機構が行っている制度で、会社に代わって未払い賃金の一部を支払ってくれるものです。複数の条件を満たした場合に、6か月間まで遡って支払われるものですが、すべての社員等が受け取れるわけではありません。出来るだけ多くの社員等にこの制度を利用できるように、会社側としてはそのための資料の提出等をスムーズに行う必要があります。

社員・パート・アルバイトの給与の未納分の分割払いは可能なのか?

こちらも労働基準法に定められている「全額払いの原則」に反するため、原則としてNGです。ただし、会社の状況を伝えた上で社員の合意を得られれば、違法とはなりますが分割払いをするというケースもあるでしょう。その場合には、書面等で支払金額や期日について明確な取り決めをして分割分の支払い計画を示すとともに、それ以降の給与について遅配などが生じないようにすることが大事です。

社員・パート・アルバイトの滞納している給与に利息はつくのか?つくならどれぐらい?

損害遅延金

支払われるべき給与が遅れた場合、社員等は「損害遅延金」を請求することが出来ます。

損害遅延金の利率
■会社に在籍中の場合:支払日翌日から年6%(非営利団体の場合5%)
■会社を退職後の場合:支払日翌日から年14.6%

付加金

対象となる一部の給料について未払いがあった場合、「付加金」として罰金のようなものが課せられることがあります。この付加金は、とくに悪質な遅延の場合に裁判所の判断により支払いを命じられるもので、金額は未払い金と同額、つまり社員等は未払い分の倍額を請求することが出来ます。具体的に対象となるのは「解雇予告手当」「休業手当」「残業手当・休日深夜の割増賃金」「有給休暇中の給料」です。

社員・パート・アルバイトの給与が払えないときの良い対処方法

社員等に状況を説明する

なんの説明もなく、ただ給料が入らない、遅れる、といったことは社員の不安をあおり、混乱につながります。会社に不信感を抱いて業務に支障が出ることもあるでしょう。そうならないためにも、遅配が確定した時点でしっかりと謝罪し、給料日を迎える前に説明を行うことが大切です。払えない理由、支払期日、緊急を要する人に対する対応などを具体的に説明できるようにしておきましょう。このとき、社員等の生活に及ぼす影響をしっかりヒアリングし、最悪の事態を招かないための対応も忘れてはいけません。

顧問弁護士、税理士に相談する

社員等や取引先との交渉に向けて、顧問弁護士や税理士にも十分相談したうえで対応を決定しましょう。カットできるものがあればそれについてのアドバイスもしっかりと受けてください。

新しく借入が出来るところがないかを検討

一時的に資金が足りないという場合には、事業用ローンの利用を検討しましょう。すでに銀行等で借入をしている場合には追加融資を受けられないかどうかを確認し、銀行等で借りられない場合には他の金融機関や大手消費者金融などで扱う事業主用のローンを探してみるなどの方法があります。

役員報酬をカットする

役員報酬をカットし、その分を社員等の給与に充てるようにしましょう。ただし、役員にもしっかりと状況を伝え、報酬カットについての同意を得なければさらなるトラブルに発展しかねないので気を付けましょう。

社員等・役員ともに必要な金額をヒアリングし対応する

全額未払いとすることで生活が立ち行かなくなる社員等は少なくないでしょう。そういった事態を防ぐために、現状としてどのくらいの金額が必要なのかを一人一人にヒアリングします。全額支払うことは難しくても、生活を維持するための必要な分だけを支給できるのであれば同意を得たうえで誠意をもって対処をしてみてください。

取引先との交渉

入金待ちの取引先や、支払予定の取引先に、その期日の交渉をしてみましょう。同じ経営者であれば、資金繰りの難しさもよくわかってくれているはずなので、誠実にお願いし、先方にも余裕があれば対応してくれる可能性は十分にあります。恥ずかしい、信用を失うのでは、といった不安もあるでしょうが、見栄をはっている場合ではないので正直に状況を伝え、相談してみましょう。

現状維持では見通しが立たない場合、給料削減やリストラも視野に

経営する立場としては非常につらい決断となりますが、役員だけでなく社員等の給与の削減や、人員削減も視野に入れ、対応することも必要です。この場合、社員等への説明を十分に行い、希望解雇者を募るなど一方的な対処にならないように気を付けましょう。

社員・パート・アルバイトの給与が払えないときのダメな対処方法

社員等に何も言わない

最もダメな対処方法です。何も知らないまま給与が入らなかったとなると、社員等の不安はかなり大きくなるでしょう。急だったために生活が成り立たなくなる社員等もいるはずで、あらかじめ伝えておけば対応出来る場合もあります。かならずこういった状況であること、今後の見通しなどを誠意をもって伝えましょう。

社員等の要望を聞かない

給与の未払いにより生活が困窮する社員もいます。そういった社員に対して、どのくらいの費用が必要なのかを聞き、出来る限りの対応をするのが経営者としての責任です。それを怠って、事業の資金を用意することばかり考えることはNGです。社員あっての会社であり、その社員等の生活を維持することがモチベーションの維持にもつながり、さらには事業の発展にもつながります。給与が支払えないという危機的な状況のときこそ、社員の意見や要望をしっかりと聞き入れましょう。

違法な貸金業者から借り入れする

銀行も消費者金融も貸してくれず、どうにもならなくなった時、あまい言葉にひかれて闇金などに手を出してしまうことがあります。借りるためのハードルは低いものの、一旦闇金で借入をしてしまうとその違法な金利でどんどん返済金額が膨らみ、結局は返しきれない借金になってしまいます。取り立てに苦しみ、精神的にも追い詰められてしまうことがほとんどなので、決して違法な業者からは借入をしないようにしましょう。

社員・パート・アルバイトの給与が払えなくなったらどこに相談すればいいのか?

税理士・顧問弁護士

まずは今後の資金繰りの計画を税理士等と検討します。具体的に何をカットし、どのような計画で行くのかを話し合い、必要であれば役員報酬のカットや、社員等の減給やリストラも検討します。

社員等

相談、とは少し意味合いが異なりますが、こういった状況になった場合、必ず説明と相談をするべき相手です。こちらの要望、相手の要望をしっかりすり合わせ、状況を理解してもらうことが大切です。会社の経済状況を正直に伝えることで、経費削減にも積極的に動いてくれるようになるかもしれません。

銀行等

資金が足りない場合、融資の相談を必ず行います。銀行では資金繰りと併せて会社の状況や業務内容、対応策などの相談にも乗ってくれることがほとんどなので、会社の経営方針なども相談してみましょう。

この調査内容の総括

会社を経営していると、常に資金繰りのことを考えることになり、取引先への支払いと同様に社員等への給与の支払いに対しても大きな責任を負う立場になります。給与は社員等の生活を支える最も大きな柱であり、これが滞ることはもちろん、少し遅延するだけでも社員にとっては大変なリスクとなります。
給与の支払いは労働基準法で定められている通り、毎月1回決まった日に、全額を支払うことが定められていますが、どうしてもそれが出来ないという場合には、何よりもまず社員等に事情を説明し、謝罪することが大事です。
事情を説明したうえで、今度は社員の事情もしっかりと聞き、その生活を脅かさないような対応を検討することになります。一人で対応できない場合は、税理士や銀行などに相談し、一緒に打開策を考えてみてください。一人で悩まず、頼れる相手、相談できる相手には出来る限りのアドバイスをもらって、会社の皆にとって良い選択を出来る経営者であってほしいと思います。

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